『BLANK BLOCK』の里見 透さん(@ThorSatomi)とプロット交換をさせて頂きました。
以下は頂いたプロットです。
1.漂流者を助け続ける人の話
2.石を食む人の話
3.過去に移住したタイムトラベラーの話
※著作権は里見さんにあります。無断転写はおやめください。
<登場人物>
主人公:商人の船に水夫として雇われた少年あるいは青年。明るく素直で好奇心旺盛。故郷に家族を残しており、元々彼らのために稼ぐ必要があり、船に乗った。なんとしても故郷に帰りたい。
女:漂流者を助け続けている女。人格者で、皆に好かれているが、底知れない雰囲気がある。
<世界観>
どの文化圏でもOK。 主人公と女の文化圏はそれぞれ違っても良いかも。
<ストーリー>
航海中、嵐で遭難した主人公。暗礁に乗り上げ、船が大破し死を覚悟したが、気づくと見知らぬ村で手当を受けている。
話を聞くと、この村の人間は全員近隣で遭難し、漂流しているところを『女』
に助けられたらしい。船が遭難しやすい海域が近くにあるというが、この村が地図上のどこに位置しているのかはわからない。
故郷に帰りたいと伝えるが、諦めろと言われる。この村には無事な船がなく、船を作れるような木材もない。技師もいない。村の位置がわからないので、航
海計画の立てようもない。村は高い峰々に囲まれ、完全に周囲から孤立している。
だが、帰る必要などないと説得される。この村は『女』が統治しており、他のどんな場所よりも、誰もが心穏やかに暮らせる場所なのだという。争いもなく、主義主張の食い違いもない。飢えもない。仕事も最低限で済む。理想郷であるらしい。
主人公も、段々とこのままここに住み始めてもいいかと考え始める。だがあるとき、故郷に残した家族との約束を思い出す。
やはり帰らなくては、と考え、『女』にその旨を伝えに行く。
夜更けに失礼かとも考えつつ、『女』の屋敷に向かう。『女』がいない。遠くの方で風の唸る音。奇妙な感覚を覚えながら海辺に向かうと、海に向かって『女』
が何か語りかけている。
どうやら『女』がなんらかの力で嵐を引き起こし、人々が遭難するように仕向
けているらしい。主人公、『女』を化物であると考えて刃を向ける。問いたださ
れた、『女』も素直にそれを認める。
『女』は元々、人々に安寧を与える土地神だった。しかし異教の神々にその座を取って代わられ、海に流され、この土地に帰り着いた。それからは、日々に疲れた水夫たちの船を沈めては、自分の築いた村で安寧を得られるようにして
いた。
「おまえのような者は、招かぬようにしていたのだけど」
(『女』が最後どうなるかは万寿さんにおまかせします)
気づくと一人で、なにもない場所に取り残されている主人公。なぜだか、『女』
の村から解放されたことはわかる。
主人公は無事に故郷へ帰り着くが、それからも、『女』と村での不思議な出来事を度々思い出すようになる。
<ひとこと>
『羅針盤』という道具に着想を得ました。紀元前の中国では、既に磁石で鉄を引き寄せることができると知られており、「慈母が赤ん坊を引き寄せるよう」と
いう発想から、磁石を『慈石』と書いたそうです。
尚、船は帆船を想定しています。大航海時代前の船は、星しか目印のない大海原を航海するのではなく、基本的に陸地に沿って航海をしていました。
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<登場人物>
主人公:もとは大富豪だったが、あるとき何らかの理由で貧民に石を投げ、それが理由で貧民は死んでしまった。主人公はそれ以来、石を食べることでしか空腹を紛らわすことができなくなってしまった。男でも女でも可。
採掘者:旅の途中で主人公に出会う。生活に困って、死んだ父親に聞いた宝の石を採掘するために旅をしている。男でも女でも可。
<世界観>
どの文化圏でもOK。
舞台→メソアメリカ 主人公→ヨーロッパからの侵略者
採掘者→アメリカ先住民でもいいかも、とも思いました。
<ストーリー>
主人公は元々大富豪だったが、貧民に石を投げ、殺してしまった。主人公はそ
れ以来呪いにかかり、石を食べることでしか空腹を紛らわすことができなくな
ってしまった。(ただし普通の食べ物も摂取しなくては生きられない)
周囲から奇特な目で見られ、本人も段々心を病んでいき、もとの生活は送れな
くなってしまう。一人で屋敷を飛び出し、彷徨っていたところを、採掘者に拾われる。
採掘者は主人公にとって、それまでは視界に入れることすら汚らわしいと考えていた蛮族。しかし採掘者の旅の目的が、山中にある宝の石を採掘することだ
と聞いて態度を変える。
宝の石というくらいだから、それを食めば自分の呪いも解けるかもしれないと考えたため。
はじめは偉そうにしているが、「そんな態度じゃ同行させない」と言われ、色々と仕方なく採掘者に従う。(薪用の枝を集めたり、火を熾したり)
はじめは何もできない主人公だが、採掘者に教わり、色々なことができるようになってくる。徐々に仲良くなる二人。
ある時、道を踏み外した主人公が崖から落ちそうになる。採掘者は咄嗟にそれを助けるが、一瞬迷うような表情を見せる。主人公、その表情から悟る。
「私は敵なのだろう。私は、……私が石を放って殺したのは、お前の父だったのだろう」
採掘者、それを認める。 「宝の石なんて、そんなの嘘っぱちだ。やつれて変わり果てたあんたを、更に貶めて、こき使って、それで最後は殺してやろうと思ってた。でもわからなくなった。あんたは私達のことを、取るに足らない蛮族だという。それなのに、どうして石を食んでまで、罪を忘れず暮らしているの」
(二人が和解するのか、するとしてもどこまで和解するのか、宝の石が実際にあったのかは万寿さんにおまかせします)
<ひとこと>
もしメソアメリカを舞台にする場合。
初期にアメリカに到達した人々は、その多くが根っからの冒険家だったようで、
その領土や原住民の宝にがっつくことはそれほどなく、原住民ともわりと平和
的な関係を築いていたようです。
ですがアメリカ大陸の存在自体が明らかになり、そこに大量の金があることがわかってからは、略奪を主目的とするヨーロッパ人が多数押し寄せるようになりました。
尚、この頃ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌への免疫がなく、伝染病で多くの原住民が命を落とした背景もあります。そういうの盛り込むのもありかも、と思いました。
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<登場人物> 主人公:未来(22 世紀とか)の法律家。核戦争など人類の自滅で地球上の文明
が滅ぶとされた際、限られた人間(20
名ほど)だけが声をかけられ、方舟という名のタイムマシンで古代の地球に移住した。そのうちのひとり。男でも女でも可。
王:古代人。元々は農奴だったが、人望があり風貌が良く、堂々たる風格があ
ったことから、未来人たちに王として選ばれる。
<世界観>
舞台は紀元前3500年頃を想定。
設定上、この時代にはありえないもの(鐙とか、筆とか)があってもいいが、
たまに『ありそうでないもの』があってもいい。
<ストーリー>
猛烈な勢いで国土を増し、反映していく文明があった。しかしそれを影で支えているのは、地球が滅ぶ未来から移住してきた、未来人達。
彼らは古代人達に高度な計算を教え、暦を教え、法を作り、畑を耕させた。
未来ではタイムトラベルの技術がある程度確立してはいたが、倫理上の問題や国家間の主張の食い違いで研究が頓挫していた。しかし地球の文明が滅ぶとあって、優秀な人材が秘密裏に集められ、過去に飛ばされたという経緯。
ただし時代は選べず、思った以上に遡ってしまった。また、タイムマシンが故障したことで他の時代に移ることもできない。
未来人達は良識として『過去を大幅に変えてはいけない』という認識のもと、
古代人の男を王に選び、そこにいずれ立つ予定であった文明を自分たちの手で立ち上げることにする。その流れで成立したのがこの国。
はじめは戸惑いながらも、未来人たちが徐々に古代に溶け込んでいく。
また、古代人の王と主人公とは友人として絆を深めており、主人公は法律家と
して王の補佐を行っている。互いに帰る故郷のない身として、この国をよく治めようという意志で行動している。
しかし未来人の中には内心違う意志を持つ人間もいた。「いずれ自滅し滅びることがわかっているのなら、歴史を大幅に変えてでもそれを阻止するべき」と考える人間が、自分が主導権を握るために王の暗殺を企てる。(主人公の恋人と
かでも良いかも)
※ 正直、ただ単に「折角古代に来たんだから俺の知識で無双したい!俺帝国
作りたい!」みたいな人も出てくるだろうし、考え始めると色々要素出て
くるけどそういうのもやり始めるとおそらく短編では収まらない。
王の暗殺は失敗し、首謀者が謀反人として現れる。
主人公、法務官として仕事を為す。
「お前こそ、一体何様のつもりだ? お前が私を裁くのか?この裁判は、人間の運命をこそ裁く裁判だということを弁えろ!私を裁くということは、己の力に驕り、自滅の道を辿った馬鹿どものかざした、古臭い倫理に従うということ
だ。また破滅の道を進むということだ!」
「私達も所詮、その馬鹿どものうちのひとりに過ぎないよ」
主人公、未来人の死刑判決を下す。
主人公、王と二人で城下の景色が見える位置に立ち、人々の様子を見ながら「美
しいなぁ」と呟く。終わり。
<ひとこと>
古代メソポタミアのシュメル文明に着想を得ました。
この文明は多くの痕跡を残していながら、「ある日突然現れ、高度な文明を作り上げて忽然と消えた」とされており、宇宙人が人類に文明を授けたとする説ま
であるそうです。(先進的な数学の跡や、巨大神殿、ハンムラビ法典の源流とも
される法典などが残されている。言語系統もその地域にそれまであったものとは違うらしく、どこから来た人々なのかまったくもって不明)
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